モラハラ・DV

【モラハラ夫にサヨナラするまで】vol.1:あの頃の私へ

外は雲ひとつない快晴。窓を開けていると、心地よい風が頬をかすめます。季節としては、ちょっと蒸し暑さが出てきた夏の始まる頃。

コーヒーを片手にPCをいじりながら、窓の外で鳴いている鳥の声に耳を澄ます。なんて穏やかな日々。コーヒーはブラックのホットコーヒーが一番好き。

こんなに穏やかに過ごせる今だからこそ、ふと昔のことを思い出すことがあります。

当時は、今では想像もつかないほど心すさむ毎日。今では、日常の些細なことでもありがたく感じます。

しかし、世の中には当時の自分と同じように今日もどこかで悩んでいるたくさんの人たちがいます。直接いただく声の中にも、辛い状況にいる人たちの心の叫びが綴られています。家にいることが多くなったこの状況だからこそ、今まで以上に厳しい環境に身を置かざるを得ない人たちもいるでしょう。

  • モラハラ・DV経験者であるわたしが、当時の自分と同じように悩む人へ向けて書く10回シリーズの第1回
  • 笑い方を忘れ、家に帰れなかったあの頃——当時のわたしがどんな毎日を送っていたか
  • 渦中にいると見えない「その先」が、必ず存在するということ

モラハラ経験をした自分だからできること

わたしはDVやモラハラに強い弁護士ではありません。その道に特化した仕事をしているわけでもありません。ただ、自分の人生の中で当事者として経験したことがある、というだけです。

行政的な手続きをこと細かに教えることはできないし、人の人生に口出しできるような資格も持っていない。現状から逃げ出す具体的なアドバイスをすることも難しいかもしれない。

それでも、何かできることはないかなと日々考えていました。

新しい人生を歩みはじめてからというもの、少しずつ当時の記憶が薄れていっています。もちろんそれは人間として正常なこと。でも、わたし自身の戒めとしても、同じことを繰り返さないためにも、忘れてはいけないことがたくさんあるはずです。

そこで、自分の人生を振り返る意味も込めて、ここに復活までの日々を綴っていこうと思い立ちました。

今のわたしが「あの頃のわたし」に伝えられることがあるなら、何を伝えたいかを書いていこう。そして同時にそれが、「あの頃のわたし」以外の誰かにも届けばいいなと思っています。

このシリーズでは、全10回にわたってモラハラ・DVパートナーとの生活から、新しい人生を歩み始めるまでの日々をわたし自身の言葉で綴っていきます。

専門家でもカウンセラーでもないわたしが書けることは、体験談だけです。AIに聞いた方が、細かい法律などはしっかりと教えてくれるでしょう。でも、体験談にしか書けないことがある。そう思っています。

あのときどんな言葉をかけられたか。どんなことで傷ついたか。どうやって決断したか。決断した後に何が起きたか。

それを正直に、包み隠さず書いていこうと思います。

同じ状況にいる誰かが、「あ、わたしだけじゃなかったんだ」と思えたら、それだけで十分です。

あなたがこのシリーズを読んでいるのは、きっと偶然ではないと思っています。

あの頃のわたしへ

同じことばかり考えている毎日。ぐるぐるぐるぐる。お腹の底から思いっきり笑ったことなんて最後にしたのはいつだったっけ。笑い方を忘れるなんてことは本当に起こるもんなんだ。自分の笑顔なのに嘘っぽく感じる。

「どうしたらうまくやっていけるんだろう」「どうしてこうなってしまうんだろう」

ただ幸せになりたいだけなのに、どうあがいてもうまくいかない。そもそも“幸せ”ってなんだっけ?考える力すら弱くなってしまっている。

毎日毎日悩んで苦しんで、それでも仕事には行かなきゃいけなくて。仕事をしているときの方が気は楽だけど、突然送られてくるメッセージにいつも怯えていたわたし。安全地帯のはずである家という場所に、どうしても帰りたくなかった。

「おいしいね」と言いながらご飯を食べたい。ゆっくりとお風呂に入りたい。安心してぐっすり眠りたい。そんな当たり前の日常すら送ることができなかったあの頃。それでもわたしは、なんとかして手に入れた“もの”を守ろうとしていたのかもしれません。

今思うとそれは、ほんとうにどうでもよくてちっぽけなものなんだけどね。

今モラハラに悩んでいるあなたへ——大丈夫、すべてはうまくいく

それでもわたしは、今ここに生きています。

あの頃からかなりの時間が経ったなぁと思ったけれど、数えてみればそんなこともなかった。抜け出すと決めてからは、後ろを振り返らずにただ前だけを見て突っ走ってきた。だから、ここまでの時間がとても長く感じたのかもしれない。

後ろを振り返らなかったのは正解。

後ろを振り返らずに、全力疾走で進む道だけを見据えて走ってきたからここまで来れた。もし後ろを振り返っていたとしたら、あちら側に引き戻されていたかもしれない。多分。おそらくきっと。

あの頃はわからなかった“幸せ”というものについても、今では自分なりに考えられるようになってきた。ご飯も美味しく食べられるし、ゆっくりとお風呂にも入れる。そして、自分の心臓の音がうるさくて眠れないなんて日もない。

穏やかに眠りにつくことができています。

渦中にいるときは辛くて苦しくて先のことなんて見えなかったけど、それでも大丈夫。

すべてはうまくいくから心配しないで。

勇気と覚悟、もちろん周りの助けは必要だったけれど、必ず新しい人生を歩むことができる。

新しい人生を得るために失ったものももちろんあるけど、それでも今わたしは幸せです。

次回からは、もう少し具体的な話をしていきます。

どんなことが起きていたのか。どんな言葉を言われていたのか。どんなふうに気持ちが変わっていったのか。

シリーズをとおして、あの頃のわたしに寄り添うように、このエピソードが今のあなたのほんの少しの支えになれば幸いです。

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