ケンカ両成敗という言葉があるように、争いや言い合いが発生した際にどちらか一方が100%悪いといったことは少ないです。
相手が絶対的に悪い場合でも、自分の言動を変えれば問題は起こらなかった、少しは状況が変わっていたかもなんてこともあるはず。
特に真面目で優しいタイプの場合は自省したりすることも多いでしょう。
しかし、もしあなたが
- どんなときもなぜか自分が悪者になる
- 常に「お前のせい」と責任を押し付けられる
- 相手が原因のケンカでも最後にはいつも自分が悪くなっている
といった状況に陥っているのなら、それは相手のモラハラが原因かもしれません。
言い争いやケンカのきっかけというのは、両者もしくはどちらか一方が不満を持っていることが発端になることも多いです。
意を決して自身の不満や不安を相手に伝えたとしても、相手から
お前が悪い、ぜんぶお前のせいだからな
という言葉を頻繁に浴びせられると、あなたの不満や不安という気持ちは行き場所を無くしてしまいます。
そしてそれが続くと、だんだんと「本当に悪いのは自分かもしれない」なんて思うようになってしまうことも。
では、なぜ相手はすべてのことをあなたのせいにするのでしょうか?
今回はそんな状況について深掘りしていきたいと思います。少しでもあなたの気持ちが昇華できることを願って。
特集8回目はこちら。
「お前のせい」と言われたときの心理的影響とその対策
パートナーと言い合いになった際、もしくは自分の不満を伝えたときなどに相手から「それはお前のせい」や「そうなったのも全部お前が悪い」といった言葉を受けるというのは、思った以上にダメージを受けるものです。
相手に不満があるから思い切って気持ちを吐き出したのに、それがすべて自分のせいだと言われる。
そんな言葉を何度も聞かされると、いつしか相手に対して気持ちを伝えることが怖くなり、さらには「自分が悪いのかも…」と自分を責めてしまうこともあります。
ケンカのはずみで一度だけ言われてしまった、またはもしかしたら本当にあなたが気がついていない自身の原因などがあれば話は別ですが、たいていこのような言葉で悩んでいる場合、それが常習的なことだからではないでしょうか。
一度や二度ではない、いつも自分のせいになってしまう。
その場合、やはり「お前のせい」といった言葉はモラハラの暴言のひとつと認識して間違いなさそうです。
この言葉はあなたの自尊心を傷つけ、気持ちを伝えることの不安や理解してもらえないという無力感、さらにときとしてうつ状態を引き起こすこともあります。
こういった暴言を吐かれ、常に自分のせいになってしまう状況が続く場合、まずは「これはモラハラじゃないか」「何かがおかしい」と認識するために、少し客観的に状況を把握することをおすすめします。
具体的な対策として、まずは相手から言われる「お前のせい」といった言葉を一旦置いておくこと。
「もしかしたら自分が悪いのかも…?」真に受けがちですが、ここはなんとか回避したいところです。
ただ最初に記したように、どんなときも一方が100%悪いなんてことはありません。
そのため相手の言葉はモラハラの一環であり、あなたのせいではないのです。
決して自分を責めないように「これはモラハラだ」と自分に言い聞かせてみてください。
実際に私自身がこのような状況に陥ったときは、次のようなことを試してみました。
- 心の中で10数える(相手からの発言に対して感情的にならないため)
- その場で深呼吸をする
- 「お前のせい」と言われたあと、日記にその状況を覚えている限り記録する
特にメモや日記をつけて、相手の言動を記録することは万が一のときにも有効です。
記録に残すことにより、自分がどれだけ不当な扱いを受けているかを客観的に確認することもできます。
また可能であれば、なるべく相手のことを考えない時間をつくることも得策。
趣味や好きなことに時間を使って、少しでもストレスを解消することで心のバランスを保つこと、自分自身を大切にすることが自分を守る一歩です。
そしてできることなら一時的にでも物理的な距離を置くこともおすすめです。
【対処法】すべてが自分のせいになってしまいそうなとき
ここでは実際に相手と言い合いになり、その中で「お前が悪い」「全部お前のせいだ」と言われた場合の具体的な対処法について考えてみます。
まず、決して言ってはいけない言葉があります。それは
はいそうです。私が悪いです。
という相手の言い分を認める言葉。
通常の相手であれば売り言葉に買い言葉でこのようなことを言っても後々大ごとになることは少ないかもしれません。
しかしここは冷静に。なんといっても相手はモラハラをするようなタイプです。
あなたが「自分のせいだ」と認めるようなものなら、相手は鬼の首を取ったかのごとく勝気満々で追撃をしてくるでしょう。
そこでおすすめなのは次の2案です。
「こうすべき」というよりも「こういうことは悪手である」といったものですが、知っておいて損はないはずです。
相手の属性やタイプ、また状況に応じても対応策は異なるため、身の危険を感じるような場合は早めにSOSを出す、避難するなど安全確保を優先してください。
①相手にわかってもらおうとしない
おそらく相手に対して不満があったり伝えたい気持ちがあったために物申した結果、いつの間にか自分のせいにされているということが多いはず。
そしてきっと優しいあなたは、相手の機嫌を損ねないようにタイミングを見計らい、少しでも分かりやすく冷静に話すよう努めたと思います。
でも、頑張って気持ちを伝えようとしても言いたいことは相手にとって嬉しくない情報。
残念ながらモラハラパートナーは、自分に対する指示や指摘、ネガティブな話題や情報は大嫌いです。
どうにかして気持ちを伝えよう、言い分を説明しようとしたとしても、相手から「お前が悪いんだろ!?」「お前のせいじゃん」と言われてしまっては終了です。
お話終了、閉店ガラガラ。
本来はこれ以上相手に話すことはないはずです。
がしかし!
モラハラパートナーを相手に持つと、常日頃から悲しい、寂しい、つらい、わかってほしいといった感情はとめどなく溢れてきますよね。
それでも、ここで相手にわかってもらうことは不可能です。
経験上、なんとか根気で言い合いを続け、相手に口では「わかった」と言わせてはみても、本当の意味で心からわかってくれるなんてことはありません。
厳しいようですが、これは諦めたほうが自分のストレス軽減にもつながります。
②相手のペースにのまれない
相手は話し合いができない人間です。
- 俺は普通にしてるのにお前がワケのわからないことを言い出した
- 俺の気分が悪くなった
- そんな気分にさせたお前が悪い
状況によって詳細は違えど、たいていはこの相手の理論ですべて言い負かしてこようとします。
(※注意:先に相手の何かに対して気分を害されたのはあなたにも関わらず)
この理論で進められると、あなたがどんなに頑張って自分に非がないこと、相手のどのような部分に対して物申したいかなどを伝えようとも無駄な努力に終わります。
なぜならこれは無敵の理論だから。
「お前が悪い」「全部お前のせいだ」と、この理論を持ち出してくるような相手には、それ以上のお話は難しいのが現実。
ただし決して相手のペースにのまれないようにはしたいところです。
ここで論点をずらしにずらされまくり、せっかく良い気分だった俺の気分を台無しにしたお前が悪だという話のトピックに持っていかれることだけは避けるべしです。
少なくともその状態のまま「もういいよ」「これ以上話しても無駄」と疲れ果てて退散してしまうと、相手は「ほらやっぱりお前が悪い」となります。
そこでおすすめなのが、
相手の言っている「お前が悪い」は否定しつつ、自分の気持ちだけ置いてくる
です。
少々難しいですが、例として実際に当時私が使っていた言葉を見るとイメージが掴みやすいかもしれません。
言いたいことは山ほどあるでしょうが、言っても理解してもらえるはずはなく、むしろ相手からの攻撃が止まないだけ。
それでも物申したいときは、相手の言うことには賛同せず、ただ自分の意見を言うだけ。
そして「以上」と言って自分のターンを終わらせると同時に、その場から立ち去ります。
ほぼ100%の確率で「逃げるのか」「卑怯者」と言った言葉を浴びせられると思いますが、そこは聞こえないフリをしましょう。
賢いあなたがバカを演じてあげることで、余計なストレスを遮断することもできます。
「全部お前のせいだ」と言うモラハラパートナーの真実
相手の気持ちをわかろうとしない、話し合うという姿勢すら見せない。
いつも自分のことを優先し、その大切な自分の機嫌を損ねたお前がすべて悪い、全部お前のせいだと暴言を吐く相手。
残念なことに、彼らは本気でそう思っています。本気ですべてがあなたのせいだと思っているのです。
もちろんあなたは悪くない、あなたのせいでないことは重々承知ですが、それでもあなたのパートナーである彼、彼女はそう思ってしまっているのです。
相手の気持ちに寄り添って考えることのできる、思いやりのあるあなたですから、彼らのその思考はなかなか理解が難しいと思います。
では、どうして彼らはどんなときも「お前のせいだ」と相手に非があることにしたいのでしょうか。
もちろん心に傷を負い、何か複雑な心理状況に陥っているなんて場合もありますが、モラハラパートナーと呼ばれる人の多くは、彼らが弱い存在で常に相手からの攻撃に怯えているからだと思います。
元々弱く小さい人なので、相手に対して自分を大きく見せる必要があります。
自分が間違っている、自分に非があるなんて受け入れられないのです。
自分を守ることに必死の彼らは、相手からの話し合いなどはすべて攻撃と捉えます。
どんなことでもあなたのせいにしないと、彼ら自身が自分の価値を信じられなくなってしまうのです。
まとめ:相手の自尊心を保つためのサンドバックであり続けるか?
自分の気持ちは届かない、伝えたところでいつの間にか自分が悪いことになっている。
そんなことが繰り返されると、優しい人であればあるほど自省の気持ちが強くなってしまいます。
「もう少し言い方を変えてみよう」
「次はわたしのせいにされないようにアプローチしてみよう」
そんなふうに努力し続けるのは、自分が頑張れば何かが変わるかもしれないという淡い期待もあるのだと思います。
しかし、果たして頑張り続けた先に相手と分かり合える日は来るのでしょうか…?
変わらない相手と過ごす中で、何かあってもすべてがあなたのせい。
それは、相手の自尊心を保つためのサンドバックで居続けるのと同じこと。
気がついたらいつも自分が悪くなる、常にお前のせいだと言われる、そしてそんな状況がおかしいと気がついたのであれば、ここらで少し立ち止まってみてください。
頑張り続ける先に、あなたの幸せはありますか?