人間は自分にとって大きな衝撃となるできごとを経験したあと、元から真面目な人ほど自分に自信をつけようと頑張る傾向にあります。
ある人は一念発起して起業したり。
ある人は突然海外に住んでみたり。
ある人は宗教に入ってみたり。
ある人は整形してみたり。
ある人はネットワークビジネスなどに足を踏み入れてみたり。
決してそれらの世界を否定しているわけではなく、人間というのは自分の傷を癒そうとする力をどこに向けていいのかわからないとき、自身が望んでいる世界とは異なる道に足を踏み入れてしまうという現象が多分に存在するということ。
思い返せばわたし自身も自分の傷を癒すため、自分の自信を取り戻すため、たくさんの時間とお金を費やしたような経験があります。
幸いなことに、家族や友人など、わたしの周りにそれを否定する人はいなかった。
「なんでそんなことするの?」
「そんなことやめときなよ」
そんな言葉は誰からも聞きませんでした。
今思えば自分でも「おかしい」「やりすぎ」というようなことばかりだったけど、周りは誰もそれをおかしいと言いませんでした。
今思えば、それは本当に恵まれた環境だったと思います。
もしあのとき周りから自分の選んだことを否定や非難されていたとしたら、ここまで早く回復することはできなかった。
そして今、もしあのときのわたしと同じように自分の傷を癒すため、いや、そんなことは分からずただただなんとかして今の状況から抜け出したいともがき、おかしな世界に入り込んでしまっているのがあなただとしたら。
今はそのままでも大丈夫。
きっといつか、自分で自分のやったことを笑える日がきます。
【自尊心向上】自信を取り戻す方法は夢を持つこと!?
まずはじめに、ちょっぴりわたし自身の話をしようと思います。
あれは離婚という人生の大きな決断をした年だったか、はたまたその数年後のことだったか。はて。。
あの頃の記憶はところどころぶっ飛んでいる部分もあるため、思い出す限りの自分の記憶と少しのフィクションを加えて書いていきます。
正直、大きな決断をした!これであの地獄から抜け出せたんだ!なんて思えたのは、あれから何年も経ったあとのことでした。
当時はモラハラDVから抜け出したといっても、ほぼ周りの人に助けられ、支えられながらなんとか抜け出したという状況。
わたしの精神はボロボロで、とても冷静にものごとを考えられるような状態ではありませんでした。
それでも、自分の心が壊れ切らないように、なんとか自分を奮い立たせようとしていたんでしょう。
「何かをやらなきゃ」
「もっと自分に自信をつけなきゃ」
と考えた挙句、わたくし、オリンピックに出ようと思ったんです。
……。
何かの競技で表彰された経験があるとか?
そんなものはありません。
好きなスポーツ選手に入れ込みすぎて真似してみようと思ったとか??
そんなこともありません。
ただ、オリンピックに出る。そして、オリンピックに出られるまで努力しよう。
そう思い立ってしまったのです。
これまでに何の経験値もない人間が、イチからスタートする競技で数年後のオリンピックに出れるようになるだなんて、突拍子もない考えだということは今でこそわかります。が、当時は何のネタでもなく真剣にそう思っていたんです。
そうやって夢に向かって努力すれば、自尊心、いや、自分自身を取り戻せると信じていました。
もちろん経験値はゼロなので、すべてイチから準備する必要があります。
- 競技に必要なものはイチからすべて購入
- 競技のルールなどもイチから細かく勉強
- 初心者でも指導してくれる場所を探し、入門
- 通い詰めてチームに加入し練習を開始!
なんのツテもない状況の中、すべて自分で調べ、情報収集し、アテがあれば積極的にコンタクトを取って自ら道を探しました。
と、持ち前の真面目さと行動力で、あっという間に練習生にまで駒を進めたこの期間、わずか数ヶ月。
勢いというのはすごいです。
そして、そこまでに要した費用は総額ウン十万円!(練習場への交通費なども考えたらもっと膨らみそう。。)
結構な額を費やしましたが、幸いにもその期間はこれまでの嫌なことを考える時間が少なく、少しずつ笑顔を取り戻すことができました。
自分に自信を取り戻せたのはもっとあとのことだけど、そこに力を注いでいる間は過去を振り返って心がザワザワすることも減っていたと思います。
【正しい道か否か】新しい世界に足を踏み込んだ結果
さて、果たしてこのオリンピックへの挑戦は間違った選択だったのでしょうか?
ここまで生きてきたわたし自身が過去を振り返ったとき、今思えば「黒歴史やないかい」と笑い飛ばすことはするものの、それが誤りだったとは思いません。
オリンピックに出ることはなかったけど、少なくともその期間は自分のことだけを考え、自分の内面に集中することができました。
もちろん、ここに思い至るまでには
「なんでこんな変なことを思いついてしまったんだ…」
「なんの身にもならなかったことにウン十万円も費やしたなんて…」
と何度か小さい後悔を感じたことはあったものの、じゃあ無駄だったのかと言われれば、無駄ではなかったのだと思う。
あとから聞いた話。
わたしの家族も「おかしいぞ」「突然変なことを言い出したぞ」とは思っていたものの、最終的にはわたしが選んだことだから、きっと必要なことなんだよ、と受け止めてくれていたこと。
あれだけオリンピックに出る!と意気込んでいたにも関わらず、何もなし得ずに大金を失ったことについても特に文句を言ったり否定したりすることなく
あのとき、あのタイミングであなたにはそれが必要なことだったんだね
と認めてくれたこと。
大金を失い、オリンピックに出られなかったとしても、この家族の温かい思いやりがわたしを取り戻すきっかけになりました。
だから、結果的にわたしは間違った道に進んだとは思っていません。
不思議の国に迷い込んだとき【周りの声】
あなたやあなたの周りでも、突然不思議なことを始めたりおかしなことに興味を持ったりしている人はいませんか?
きっと周囲から見たらおかしなことでも、本人にとっては人生の中で必要なできごとだったりすることもあります。
自己啓発本を読み漁り、今ある仕事を捨て、借金をしていきなり起業した人。
海外への渡航経験が少ないものの、外国人との出会を求め、突然海外に住み始めた人。
哲学に目覚め、自分の内面と向き合うことを目的に宗教に入信した人。
これまでの自分から少しでも何かを変えたいと思い、思い切って整形した人。
優しくしてくれた人に憧れ、その人みたいになりたいと、ネットワークビジネスに足を踏み入れた人。
側から見たら「大丈夫かな…?」と心配してしまうようなことでも、一度そのまま見守ってみてはどうでしょうか。
もちろん命の危険にさらされるようなことがあれば、すぐにでも引き留めることは大切です。
しかしそうではないのなら、そして本人が幸せそうなのであれば、ぜひ頭ごなしに否定や非難はしないであげてほしいなと思うんです。
短い目で見ればお金だって無くなってしまうし、世間では良しとされていないようなことをはじめてしまっているのかもしれません。
でも、それで本人が地獄から抜け出す支えになるのであれば、立ち直るきっかけになるのであれば、いつか不思議の世界から戻ってきたときも、きっと後悔はしないと思います。
そしてそのとき、周りが否定しなかったこと、温かく見守ってくれていたことに大きな感謝を感じるはずです。
そしてそれこそが、心の傷が癒えはじめている証拠なのです。
心の傷を癒やすには、ときとして寄り道も必要
何が正しくて何が間違っているか、何が普通が何がおかしいのか。
人は人生の中で、これまでは何も考えず判断していたことでも、突然それができなくなることがあります。
今までは何の不自由もなく選択できていたことが、いつしかどちらを選べば良いのか、どの道へ進めば良いのか迷い、混乱してしまうこともあります。
自分がそんな状態に陥ってしまったときは、焦らずゆっくりと流れに身を任せてみてください。
混乱している中で選択した道を進み、居心地が悪いなと感じたのであれば、そのときまた新しい道を探せばいい。
人生の中で、それはちょっとした寄り道に過ぎないかもしれません。
そしてもしあなたの周りに不思議の世界に迷い込んでいる人がいるとしたら、ぜひ目覚めるまで温かく見守っていてあげてください。
後戻りできなくなりそうなときにだけ、そっと声をかけてあげて、あとは放っておく。
何もできない、何もしてあげられないことに罪悪感を感じる必要はありません。
彼ら彼女らが選んだ道を否定や非難しないというだけで、あなたの優しさがしっかりと支えになっているんです。
そう、突然オリンピックに出るんだ!と言った家族や友人に対しても、決して否定はしないでくださいね。
え?オリンピックはどうなったかって??
もちろんオリンピックどころか、あれからなんの試合にも出ることなく、いつの頃からかフェードアウトしていました。
高い勉強代だったけど、後悔はなしです!