「相手とストレスなく会話ができることの幸せ」
おそらくこの記事に縁がないような人であれば、こんなことは考えないかもしれない。
しかし、恋人や夫婦、親や兄弟など、身近な人の中に何を話してもストレスしか得られない人がいる場合、ストレスフリーで何気ない会話ができる相手と出会ったときの幸せ・安心感はとてつもなく大きく感じられるはず。
優しく真面目な人であればあるほど、ストレスしか得られない相手との対話においても、そのストレスの原因は自分かもしれない、もしくは自分が頑張ればなんとか良い方向に変わるかもしれないと、より一層のストレスを感じたりします。
どうにかして相手との関係を良い方向に持っていきたい…だけど、何をやってもうまくいかない…
頑張れば頑張るほど、うまくいきたいと願えば願うほど、自身の苦しさが増えるという悪循環。
何というか、もがけばもがくほど深みにハマるアリ地獄のよう。
そしてあらゆる情報を漁ってなんとかして光を探しているうち、ふとこんな情報が目に入ってくる。
人格障害(パーソナリティ障害)
出口の見えない苦しみの中、この情報はときとして真っ暗闇の中に現れた一筋の光に感じる。
もしかして、この悩みのタネである相手はパーソナリティに問題があるのかもしれない、と。
身近な人との関係性に悩んでいる人ならば、一度はこの情報に出くわしたこともあるだろう。でも、じゃあ一体全体どうしたらいいの?となるはずだ。
相手にマイノリティな特徴があると判明したとはいえ、そのとき実生活においてどのようにしたらいいか、どのように行動すべきか。
ここではわたしなりの見解を、実体験と合わせてお伝えしようと思う。
前提として、ここでは親兄弟という血縁関係者にパーソナリティ障害をお持ちの方については割愛とさせていただきたい。(というのも、わたしの経験値の中に情報がないため)
今回は、恋人や夫婦がパーソナリティ障害だった場合はどうしたらいいのか?について、経験談と具体的な対応策を記していく。
筆者が医療関係者などではないため医学的根拠などを提示することはできず、あくまでもひとりの人間の個人的見解として一歩引いて読んでいただけると幸いです。
結論:離れられるのならば離れるべし
周りくどい説明は後回しとし、まずは結論を述べてしまおう。
結論として、付き合いの浅い恋人関係・夫婦などであれば、今すぐにでも離れることをおすすめしたい。
特に守るべきものが自分の体のみであれば尚のこと、相手への情けなどは一切捨てて遠くへ走り去っていただきたい。
というのが、わたしの正直な意見。
わかります。離れるっていったって、相手のことがまだ好きだから悩んでいるのにどうしてそんな薄情なことができるの?と思われる方もいることだろう。
でも、その情けが命取りになることもあるからこそ、逃げの一手を提案しているのだ。
まず離れるべき理由として、大きく以下3点が挙げられる。
- 時間は有限であること
- 自分の精神が弱っていくこと
- 長引けば長引くほど逃げづらくなること
ひとつずつ詳細を説明していこう。
ちなみにここから先、パーソナリティ障害については「障害」という言葉が誤解を招かぬよう「個性」というワードを使って記していこうと思う。
パーソナリティ障害(パーソナリティしょうがい、英語: personality disorder, PD)とは、文化的な平均から著しく偏った行動の様式をとり、特徴的な生活の様式や他者との関わり方、または内面的な様式を持ち、そのことが個人的あるいは社会的にかなりの崩壊や著しい苦痛や機能の障害。
引用:wikipedia
理由①時間は有限であること
人間というのは、気がつくとあっという間に年齢を重ねているものである。
昨日まではリップなんて塗らなくても桜色の唇だったはずなのに、気がついたときにはピンクや赤色を塗らないと「え?顔色悪い?」と思われるような唇になっている、なんてことが起こりうるのだ。
それくらいあっという間に年を重ねるということは、自分の命尽きるまで残された時間もあっという間に過ぎ去っていく可能性が高いということ。
さて、そんなあなたの貴重な時間を、一緒にいると病んでしまうほどの個性を持っている相手にすべて費やしていいものだろうか?
パーソナリティの個性なのだから、相手からしたらそれがデフォルト、普通なのである。
ということは、相手は変わらない可能性が高い。
今でこそこんなにも苦しんでいるというのに、この先も決して変わらない相手を受け入れ、限りある人生をともに歩んでいく覚悟はあるだろうか?
有限なる時間を少しでも穏やかに生きたいと願うならば、離れることをおすすめするのがひとつめの理由だ。
理由②自分の精神が弱っていくこと
パーソナリティーに個性のある相手と過ごしていく中で、ササっと身をかわし、適当にやり過ごせる人ならこんなにも悩んでいないだろう。
ということは、今この時点で少なからずあなたにはある程度の徒労感、脱力感、虚無感が蓄積されているのだと思う。
つまり、相手の個性の強さであなた自身にマイナスの影響が出てしまっているのだ。
厄介なことに、これは側から見るとわかりづらい。
殴られたり蹴られたりして傷やアザができるわけでもなく、ただただゆっくりとボディブローのように、少しずつメンタルを削られていく。
もしかしたら自分でも気がつかないうちに、自分の精神がむしばまれている可能性だって高いのだ。
あなたの人生はあなた自身のものなの。
心が壊れてしまう前に相手から離れ、まずは自分を優先に回復することをおすすめしたいのがふたつめの理由だ。
理由③長引けば長引くほど逃げづらくなること
先述したように、個性が強い相手と長く時間を過ごせば過ごすほど、まるでアリ地獄の中に引きづり込まれたかのようにどんどんと深みにハマっていってしまう。
この深さは時間の経過と比例する。
そしてその時間の長さは、あなた自身が相手に対して何とかしてうまくいかないかと頑張ってきた時間でもあるのだ。
「ここまで頑張ったんだから、きっと何かうまくいく方法はあるはず。」
「もしかしたら次に〇〇をしたら変わるかもしれない。」
これまでも同じように頑張ってきたはずなのに、もっともっとと自分で自分を奮い立たせ、より一層の頑張りを自分に課してしまう。
もちろん相手は頑張らない。だって相手は普通に生きているだけだから。
そしてまた、変わらない相手との関係性を何とかしたいと自分だけが努力する時間だけが積み重なっていく。
ギャンブルなどと同じで、費やした時間だけ失うのが怖くなり、どんどん損失は膨らんでいく。ここでいう損失とはあなた自身の時間のことだ。
時間をかければかけるほど事態が好転するわけでなく、むしろ悪い状況に自らを追い込み、気がついた頃には逃げられない状況になってしまっていることが、みっつめの理由だ。
無駄な努力と虚無感の果て【体験談】
ここで少しわたしの体験談を話しておこう。
おおよその流れはコチラ↓を見ていただくとわかるかなと思う。
ただ、実はこの全10エピソードの中に人格障害・パーソナリティ障害というワードは出てこない。
というのも、渦中にいるときは正直断定が難しかったからだ。
少なからず何かしらパーソナリティーに強い個性をお持ちの方だとは思っていたが、冷静に考える余裕もなかったし、ときには考えないフリをしたこともある。
それが自分を保つための精一杯の方法だったのだが、もちろん周りにいる知見のある人たちからはこう言われていた。
- 相手はパーソナリティー障害の可能性が高い
- まともに相手をしていたらあなたが壊れる
本当にそのとおりだった。
パーソナリティーの強い個性といっても、実は様々なタイプがある。(参考「MSDマニュアル家庭版」)
おそらく、当時の相手はそのうちの【自己愛性】に合致すると思われる。
再度記載するが、わたしは医者でもなければ専門分野に精通した人間でもなく、相手も医師に診断されてわけではない。
あくまでものちに色々と独学で調べたこと、そして経験則から導き出した自分なりの解に過ぎないことを書かせてください。
相手が限りなく自己愛性に合致するだろうと思った背景には、次のような部分がある。
誇大性:常に自分が一番、自分以外の人は劣っているした発言。ただし地位ある人物には異様なほどの尊敬をみせる。
特別であるという空想:常々「自分は他とは違う」と発言し、歴史上に名を残した人物の生まれ変わりかもしれないと空想。関連した謎のポエムを送りつけてくることもあり。
賞賛欲求:褒められることに異常なまでの快感を得る。また自身を認めない人間はクソだという極端な発言多し。
それ以外にも、細かい部分を挙げると
- パートナーを常に疑い、信頼を築き合おうとはしない
- パートナーの喜びを受け入れず、否定や非難を繰り返す
- 自分の都合の悪いことはなかったことになる(本人の中では本当に記憶から抹消されている?)
- 自分の素晴らしさを見せびらかすために写真や動画を拡散する
等々、挙げればキリがないほど「ん?」「おかしいぞ?」というポイントはたくさんあった。
そして、他に漏れることなくわたし自身も、相手のひとつひとつの言動に真摯に向き合い、少しでも穏やかに過ごせるように頑張った。
のが間違いだったというのはあとから気がついたこと。
頑張り過ぎて自分自身がよくわからなくなり、思考も安定せず、毎日同じことばかり繰り返し考えては周囲に相談ばかりしていた。
1日に同じことを3回以上、同一人物に相談している時点で、正常な思考ではなかったのだと思う。(みなさんも、1日に同じことを3回以上繰り返し考えて悩んでいる場合、自身のメンタルが相当削られているというチェックポイントにしてみてください。)
自分の精神が弱っていく中で尚も頑張ろうとした結果、絶望感と虚無感にさいなまれ、一部記憶が欠落する事態にまで陥ってしまう。
わたしの場合、周囲の温かいサポートによって抜け出すことはできたのが不幸中の幸いだが、あのまま誰のサポートも受けられずにいたならば、今もまだ地獄の中にいたと思う。
ひとりの人間が人生をかけて頑張って状況を良くしようともがいても、何も変わらなかった。
これが、パーソナリティーに強い個性を持っている相手からは離れるのが最善の方法だと考える所以だ。
離れられないのならば、少しでも距離をおこう
状況によっては、経済的に相手の支援がないと生活ができないとか、子どもや親族の兼ね合いでなかなか別れる選択肢を選ぶことができない人もいるだろう。
そういったすぐに決別できない環境であれば、少しの時間でも物理的に距離をおくことをおすすめしたい。
そして、信頼できる人に話を聞いてもらえる環境を探し出してほしい。
ちまたには「人格障害 対処方法」「パーソナリティー障害 対応策」などと調べればそれなりの情報は得られるかもしれないけれど、あくまでもそれは応急措置にすぎない。
もちろん応急措置を否定しているわけではない。
逃げたるべきだけど逃げたくない、離れた方がいいのに離れられない、嫌だけど別れたくないなんて心理状況はたくさんある。
人間きれいごとばかりじゃないのだから、そんなあやふやな心の状態に陥ることだってあるんだし、応急措置とはそんな状況にある人にとっての救いになることだってあるのだ。
ただ、永遠に応急措置で過ごせるかというとそうもいかない。
今を犠牲にした先に穏やかな未来が待っているかを真剣に冷静に考えるタイミングも必要だ。
そこで、ほんの少しずつでもいいから相手と物理的距離を確保し、相手以外の信頼できる誰かに話を聞いてもらう環境が大切になる。
具体的には、ほんの少しだけカフェで友人に話を聞いてもらう時間を設ける、もしくはいっときでも実家によって家族に話を聞いてもらう等々。
相手のパーソナリティについてあれこれ悩むことは一旦置いて、まずは物理的に距離を離して少しでも自分の回復に努めるとしよう。
手遅れになる前に【逃げることも大切】
本来優しくて真面目なあなたは、その状況から逃げることに罪悪感を感じてしまうかもしれない。
でも、これまで何回も「自分がもっとこうしたらいいかもしれない」「相手は〇〇の特性があるから、接し方を変えてみよう」と、自身を改善することをがんばってきたはずだ。
思い返してみてほしい。
あなたがトライしたことはすべて、あなたがあなた自身を変えようと頑張ったことではないだろうか。
賢いあなたは、以前から相手はなかなか変わらないこと、自分を変えてみたほうが早いことに気がついている。だからこそ、自分の接し方やマインドを変えようと努力したんだと思う。
でも、世の中にはやっぱりどうにもならないことだってある。
パーソナリティに強い個性を持っている相手と人生を歩むことも、そのうちのひとつかもしれない。
相手は絶対に変わらない。
むしろ時間を重ねるにつれその個性がますます強まっていく可能性だってある。
そんな相手と一生という時間をともに過ごすことが、あなたにとっての幸せなのだろうか。
『頑張った結果どうにもならない』と思い知るのは怖いかもしれないけど、自分が壊れてしまったり逃げられなくなる前に、駆け出すこともときには大切なことかもしれない。