配偶者からの暴力に怯えながら、誰かに助けを求めることもできず悩んでいる人はたくさんいます。
日本では、警察が一年間に把握したDV被害者数を発表。その被害数はなんと8万件超え。
警察が昨年1年間に把握した配偶者などパートナーに対する暴力(DV)の被害は8万2643件(前年比0・5%増)で、17年連続で最多を更新した。
引用:朝日新聞デジタルより
あくまでも把握した件数なので、実態はそれ以上だと言えるでしょう。
新型コロナウィルスの影響で自宅にいる時間が増えたことも増加の一因です。
一方、世界のDV事情はどうでしょうか。
発展途上国や貧困層だけでなく、経済発展国の富裕層でもDV件数は増加しています。
そんな中、イギリスでは政府が発表したDV被害者を救おうとするある働きかけが話題になりました。(リンクはイギリスの記事のため英語です)
今回はこの秘密の暗号とともに、海外のDV事情や日本が参考にする部分について詳しくみていきましょう。
DV被害者を救う薬局での合言葉
イギリスが2021年1月に発表した内容は、DV被害を受けている人にとって希望の光に見えたことでしょう。
イギリス政府が発表したAsk for ANIの詳細は次のとおりです。
- DV被害者は薬局へ行きなさい
- そして「アニーさんはいますか?」と尋ねなさい
- 気づいた店員が安全な部屋へとあなたを誘導します
- 彼らがヘルプラインへ通報してくれるでしょう
実はこのANI、英語にすると「Action Needed Immediately」となり「いますぐ行動が必要」=「助けて」という合言葉になっているのです。
この合言葉であれば、たとえDV夫とともに薬局へ行ったとしても気づかれることなく第三者に助けを求めることができます。
実際に薬局で「アニーさんはいますか?」と尋ねた後の流れはこんな感じ。
〜DV被害者1人ではなく、パートナーなどが連れ立ってきた場合〜
〜相談部屋にて〜
そして、必要に応じて警察や各所関係機関へのヘルプコールをしてくれます。
コロナ禍で海外でも増加しているDV被害
パンデミックの影響により、ロックダウンなど日本以上に規制が厳しくなっている海外諸国。
これまでパートナーとは良好な関係を築いてきた人たちの中にも、積み重なるストレスからだんだんモラハラやDVを受けるようになったという声も多いです。
ロックダウンともなれば外出することもままならない状況。
DVパートナーと長時間同じ空間にいなければならないことがいかに危険なことかは想像にかたくありません。
最悪の場合、命を落としてしまう事例もあります。
本来であれば安心できるはずの家で常に戦闘状態を保つのは容易なことではありません。
コロナ禍で経済的にも打撃を受けていることにより精神的な安定を崩した人が、ストレス発散のため妻に対し暴力をふるうという事例も。
世界にはウィルスとの戦いに加え、配偶者との戦いに耐えている人もたくさんいるのです。
日本のDV相談件数
日本でも海外と同様、新型コロナウィルスの影響により2020年のDV相談件数が過去最多となっています。
2020年度のドメスティックバイオレンス(DV)の相談件数が昨年11月までの総数で13万2355件に上り、過去最多となったことが12日、内閣府の調査で分かった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛が影響。19年度を早くも1万3千件上回り、今後膨らむ事態が懸念される。
引用:日本経済新聞より
やはり日本でも、外出自粛に伴い家にいる時間が増えたことが大きな要因になっているようです。
これは男性からのDVだけでなく、女性からのDVも含みます。
そして悲しいのが、DV家庭においては子供への被害も高い割合で発生しているということ。
パンデミックという状況で世界が混沌としている中、未来ある子供たちまでDVの被害者になっているという現状は、私たちが目を背けてはならない大きな問題のひとつです。
日本でもアニーさんはDV被害者の救いとなるか?
個人的な見解は、正直まだまだ難しいかなと思います。
日本政府がDV被害者を救う合言葉を発信し、各所連携して行動するというのはなかなか簡単にはいかないでしょう。
であれば、私たち一人ひとりが行動することにより、DVに苦しんでいる人たちを助ける方法を探っていく方が早いかもしれません。
YoutubeやTwitterなどのSNSでは、無言で助けを求めることができるハンドサインが拡散されています。
DV被害者がパートナーに気づかれることなく助けを求めたとして、助けを求められた側がその意味を知らないとせっかくの勇気ある行動も救うことができません。
私たちがちょっとした情報を知っているだけで、救える命があるかもしれないのです。
「私の思い違いだったらどうしよう」
「面倒なことに巻き込まれたくないな」
助ける側にも勇気は必要でしょう。
しかしあなたが見たヘルプサインは、もしかしたらDV被害を受けている人が最後の勇気を振り絞って出したSOSかもしれません。
間違っていたら「DVを受けていなくてよかった」でいいのです。
大切なのは、今この瞬間も必ずあなたの周りにDVを受けている人がいるという事実を知っておくこと。
世の中からDVがなくなることは難しいでしょう。
それでも、ひとりでも多くの人がDVの苦しさから解放され、穏やかで安心して暮らせることを心から願っています。
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