モラハラ・DV

怖いのに、離れられない——その理由は「モラハラサイクル」というループにあるかもしれません【体験談】

「なんでこうなるってわかってるのに、また戻ってしまうんだろう」

モラハラで苦しんでいる人に話を聞くと、こういった言葉が出てくることがよくあります。わたし自身も、何度もそう思いました。「次に暴言を吐かれたら終わりにする」と決めたのに、気づいたらまたいつもどおりの日常に戻っている。

周りから「なんで別れないの?」「離れたほうがいいよ」と言われるたびに、頭ではそうしたほうがいいかもしれないと分かってはいるのに、行動が伴わず、自分でも自分自身がわからなくなっていく。

「わたしがおかしいのかな」「なんでだろう」「情けないな」

でも、これには明確な理由があります。

「モラハラサイクル」という、一度ハマったら抜け出せない蟻地獄のような負のループの存在です。わたしの経験をもとに、お話したいと思います。

  • モラハラの関係が「蓄積期→緊張期→爆発期→ハネムーン期」という4つの段階を繰り返す、サイクルの具体的な流れ
  • 「怖いのに別れられない」「苦しいのにまた戻ってしまう」という状況が生まれる、ハネムーン期の恐ろしいメカニズム
  • わたし自身がそのループの中でどう感じ、どう消耗していったか——渦中にいる人だけが知っている、あの感覚のこと

モラハラには周期があります

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もし、あなたの友達や知り合いが彼や夫からモラハラを受けているとしたら、あなたはどうしますか?

「そんなに酷いことを言う相手なんてやめておいたほうがいいよ。」「早く別れた方がいいと思う。」そんなふうに忠告するんじゃないでしょうか?

そして、もし彼らが周りの忠告があっても別れを選択せず、モラハラパートナーとの関係を続けている場合、「なんで?」「どうして?」って思いますよね。モラハラをする相手なんて、一緒にいると辛いだけなのに、と。

もしわたしも、自分の友達が彼氏や夫からモラハラを受けていたら、「そんな人とは離れた方がいいよ」とアドバイスするでしょう。

でも、「関係を断ちたい!」「抜け出したい…」と心から思っていてもそれができないのは、もしかしたら魔のループ:モラハラサイクルにハマっていることが原因かもしれません。

モラハラサイクルとは一体どのようなものなのか、わたしの経験をもとにお話したいと思います。

Chiru
Chiru
モラハラ周期については各資料で様々な呼び方をされています。本サイトでは、「モラハラサイクル」として記載を統一したいと思います。

(1) 蓄積期

相手のモラハラゲージがどんどん溜まっていく時期です。人によってはチクチクと小言を言われたり無視をされたりすることもありますが、「なんだかストレスが溜まってそうだなぁ」という程度。これは人間であれば誰でもあるようなことですよね。

また後述する「ハネムーン期」の後にも当たる時期なので、ときとして「安定期」とも呼ばれます。

わたしの場合も、当時モラ夫は小言を言ったかと思えば優しい言葉をかけたり、もちろん普通の会話もできていました。楽しく過ごせていたこともあったので、わたしもこの時期は比較的安定した関係を保てていると思っていました。

ただ、モラ夫のモラハラゲージは順調に溜まっているのがこの時期です。

(2) 緊張期

蓄積期で溜まってきたモラハラゲージが、MAX値に近くなっている時期です。

蓄積期が無く、長い緊張期を過ごすパターンもあります。わたしの場合、蓄積期の後にほんの少しの緊張期がきていた気がします。

思い返すと、この時期の彼の特徴としては、口を開けば小言ばかりでした。

「お前は目に付くところの掃除はするけど、見えないところの掃除はしない。それでちゃんと掃除をしたとか二度と言うなよ。」とかね。(モラ夫の口ぐせの一つが「二度と言うなよ」でした。)

“小言を言うこと”がノーマルになり、少しでもモラ夫の思うようにならないことがあると怒り出していた時期です。

それでもまだこちらも対応できるレベル。嫌な気持ちにはなるけれど、わたしの場合はなんとかやり過ごすことができていました。

ただ、相手のゲージが溜まっているのはハッキリと分かるので、「そろそろ爆発しそうだな。それは避けたいな…」と相手の顔色を伺うようになるのです。

(3) 爆発期

様々なパターンがあると思いますが、モラハラサイクルにハマった側からすると、恐らくこの時期が一番キツイ。

爆発といってもどのようなことが起こるかは人それぞれですが、中には人格否定をするような暴言を吐いたり物に当たったり、場合によっては直接暴力を振るわれることもあります。

わたしの場合、モラ夫に決まったトリガーがあるわけではなく、“何か”わからないけれど“何か”がきっかけで爆発していました。

特に多かったのは、人格を否定するような暴言の数々。すべての原因はわたしにあると怒鳴り、言い返そうものなら物に当たり、そのまま家を出るか部屋にこもります。

そして、話しかけても完全無視。わたしが家にいるときはずっと部屋にこもるという、家庭内別居が始まるのです。

爆発期のつらさ

爆発期がどれほどつらいかは、もしあなたが渦中にいるのであれば、その苦しさをひしひしと感じているかもしれません。

暴言を吐かれたり無視をされたりすること自体もつらいですが、わたしが一番消耗したのは「次にいつ爆発するかわからない」という、常にそこにある緊張感でした。

家に帰る前に、今日のモラ夫の機嫌を予測しようとする。ドアを開ける瞬間に、心臓が飛び出しそうなほど緊張し、家の中はどうなっているのだろうかと空気を読もうとする。リビングの様子を見て、「今日は大丈夫そうかな」と胸をなでおろす——。

そんな日々を、なんとなく「普通のこと」として過ごしていました。

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でも、これは普通のことじゃない。自分の家に帰るのに、怖いと感じるなんて。当時のわたしには、その「普通ではないこと」に気づく余裕すらありませんでした。

(4) ハネムーン期

爆発期がきて完全無視をされた状態が続くと、こちらもかなり消耗してきます。体力も気力もほぼゼロに近い状態。

挨拶をしても無視、目も合わせません。隣を通るときも、身体が触れないように露骨に避けられたりしていました。しつこく話しかけようものなら「お前とは話したくない。話しかけてくるな!」と拒絶。

そんな消耗しきった状態の時に、それは突然やってきます。

「ハネムーン期」

仕事が終わり、憂鬱な気分で家に帰ると、昨日まで完全無視をしていたのが嘘だったかのように笑顔で話しかけてきます。「おかえり〜!」と…

そしてハグをしてこう言うのです。

モラ夫
モラ夫
俺はお前じゃなきゃダメなんだよ…お前と結婚して俺は本当に幸せだ。

冷静に考えれば、こんな突然の変わりようはおかしいですよね。でも、自分が消耗しきっているとき、自尊心もボロボロのときだと、それが嬉しいとすら感じるのです。「あぁ、やっぱりこの人にも優しいところはあるんだよなぁ」と。

Chiru
Chiru
やっと話せた…良かった…。優しいことを言ってくれる夫に戻った。

ただそれはほんのひととき、かりそめの幸せ気分を味わえる時間。その後はまた蓄積期へ…

こうして同じことが繰り返されるのです。

時間が経つにつれ、モラハラサイクルの周期は短くなっていきます。毎日相手の挙動次第で上がったり下がったり振り回される様は、まるでジェットコースターに乗っているかのよう。

まとめ:モラハラサイクルから抜け出せない、本当の理由

どうしてモラハラサイクルから抜け出すことが難しいのか。

そのひとつに、このハネムーン期があるからだとわたしは思います。人格を否定され続け自尊心ボロボロの状態に陥ると、ハネムーン期にかけられる優しい言葉は、それはそれは嬉しく感じます。

普段見せないような優しい一面を見せてくれる時期があるから、爆発期も乗り越えられるとすら思ってしまうのです。「優しい彼が本当の彼なんだ」と。

そしてそのうち、ハネムーン期の相手の優しさで自尊心を保とうとします。

モラハラ男に自尊心をズタズタにされる→自分に自身が無くなる→ハネムーン期で愛されていることを再確認する→自信を取り戻す→※リピート

こうして体力気力とも貧弱になり、モラハラをする相手でも、いや、モラハラをする相手がいなければ自分を保てない人間が出来上がります。これが、魔のループ:モラハラサイクルの恐ろしさなのです。

このサイクルを知ったからといって、「じゃあすぐに抜け出せる」というものでもないのが正直なところです。それは、わかっているのに抜け出せないというのが、モラハラサイクルの一番怖いところだから。

ただ、「なぜ自分はここから離れられないのか」がわかるだけで、少しだけ自分を責めることが減るかもしれません。

別れられないのは、あなたの意志が弱いからじゃない。ループの構造上、そうなるように仕向けられているんです。

渦中にいると、それがどんなに異常なことかわからなくなります。わたしもそうでした。

だからこそ、「なんかおかしい気がする」という今のあなたの感覚を、大切にしてほしいと思うのです。

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