言霊(ことだま)とはよくいったもので、言葉に魂が宿るのはあながち間違いではなさそう。
言葉という力はすさまじく、たったひと言で天にも昇るような幸せな気持ちにもなれるし、はたまた命を絶ちたくなるほどの地獄に落とされることもある。
言葉で人をあやめることもできるのです。
あなたに対して優しい言葉、温かい言葉をかけてくれる人しか周りにいないのなら、それは幸せで幸運な環境だと思います。ありがたいことです。
でもきっと、今こうして悩んでいるあなたは、家族、友人、もしくはもっとも身近なパートナーなどから、温かさとは真逆の冷たいトゲトゲしい言葉を浴びせられているのではないでしょうか。
こんなことを言われた、あんな言葉を吐かれたと傷ついては、その言葉を受けないように、聞かないように対策を講じる。真面目な人ほど、そんな痛々しい努力をしてしまう。
ちょっとしたケンカでつい感情的に発してしまった言葉であれば、ごめんねで済むこともあるかもしれません。
しかし、
生理的に無理
という言葉は、結論からいってしまえば解決策も酌量の余地もない残酷な言葉です。
この言葉を発する相手があなたにとってどんな存在であるか、また今後どのように接していくべきか、わたし自身の体験と合わせて記すことで、少しでも冷静に考えるきっかけとなることを願って。
特集7回目はこちら。
「生理的に無理」という言葉の真意
「生理的」という言葉は、往々に身体的な反応や感情に関連して使わることが多い。
たとえば、「生理的に受け付けない」といった表現は、相手の言うことやある行動、状況が自分の身体的感じ方や心理的な応答によって、嫌悪感や不快感を引き起こすことを意味する。
身も蓋もない言い方をしてしまえば、男女や親子ども、上司部下といった立場や状況をとっぱらったとしても、相手のことが人間としてイヤだ、ということ。
人としても受け付けない、遺伝子レベルで拒否反応を起こす、そんな状態のことを指します。
はてさてSNS上での攻撃文句として見かけるようなこの言葉を、身近な人間から浴びせられるとはどのような状況でしょうか。
- 職場の陰口で聞いてしまった「あの人、わたし生理的に無理だわ」
- 彼氏から放たれた「お前のそういうところほんと生理的に無理」
- 夫からいわれた「生理的に無理なんだけど」
相手とどのような関係性であるかにもよりますが、やはり親密度が高ければ高いほど、この言葉というのは威力を増します。
どこからどう見ても「生理的に無理」という言葉は、相手からの攻撃的な発言です。
昨今この言葉を軽々しく口にする人も増えているのは事実ですが、これを直接身近な相手に向かって吐き出す時点で、発言する側も相手への大きなダメージを想定しています。
「生理的に無理」というのは、反撃されにくいかつ、相手へ最大限のダメージを与えられる言葉なのです。
言葉によるダメージの度合い
暴言というのは、受けた瞬間はもちろんそれらが蓄積して心の傷みや苦しみに繋がっていきます。
瞬間的ダメージでいうなら、この「生理的に無理」というキーワードはそこまで威力を発揮しないでしょう。それよりも、ブス、バカ、◯ね、気持ち悪いといった罵詈雑言のほうが、発された瞬間のダメージは大きいです。
しかし「生理的に無理」という言葉の怖いところは、ボディーブローのようにあなたの心を傷つけていく。
なぜならこの言葉に対しては反撃のしようがなく、救いようもないから。
ブスだといわれたら可愛くなる努力をする、デブといわれたら運動するといった努力の方向が見えてくる言葉とは違い、生理的に無理ならそれはもう無理なんです。
相手があなたを尊重していないことは明白。
モラハラチェックとしては、一発退場の言葉に値します。
これはいっときの感情によって発せられるには重すぎるし、ましてやこれが日常的に起こるのなら完璧アウト。
それほど、この言葉の威力は大きいんです。
いかに相手を傷つけられるかが大事【モラハラ手口】
さて、暴言を吐かれて傷つく側というのは、相手から発せられた言葉をキレイにそのまま受け取ってしまう傾向が強いです。
わたし自身もそうでしたが、相手が「生理的に無理」といったのなら「あぁ、相手は自分のことを生理的に無理なんだ」と素直に受け取っていました。
100%そう信じて疑わず、ただただその言葉をバカ正直に胸に入れ、思いっきりダメージを受ける。
でもちょっと待って。
実はそれこそがモラハラの手口であり、真の目的です。
モラハラというのは一般的に、次のようにいわれています。
モラルハラスメント(仏: harcèlement moral)とは、モラル(道徳・倫理)に反した精神的ハラスメント(嫌がらせ)。モラハラと略される精神的虐待。
外傷が残るなど顕在化(見える化)しやすい肉体的な暴力と違い、言葉や態度等によって行われる精神的暴力は見えづらい。
引用:wikipedia
モラハラというと「暴言を吐かれた」「人格否定の言葉を浴びせられた」と相手にされたことを挙げ、相手がこういったからモラハラ、こんな言葉を発したからモラハラというジャッジに留まりがちです。
しかしもう少し踏み込んでその目的まで考えると、そこには
- いかに相手を無力にさせるか
- いかに相手から抵抗力を奪うか
- いかに相手を支配下に置くか
といった恐ろしい狙いが見えてきます。
言われた側からすれば、どんな言葉を吐かれてどんな言葉に傷ついたかに集中して考えがちですが、本当に怖いのはこの狙いにまんまと引っかかること。
そして先にも伝えたように「生理的に無理」というのは、反撃可能な言葉も見当たりにくいためあなたから反撃可能な手段を奪い、抵抗力を抑え、そして支配下に置きやすくする、モラハラをする側からしたらかなり有効的な言葉なのです。
生理的に無理な相手なのになぜ一緒にいるのか?
見たくない現実かもしれませんが、相手があなたのことを「生理的に無理」だと言った、心からそう思っているとしましょう。
では、なぜ生理的に無理な相手であるあなたと今も一緒にいるのでしょうか?
本当に生理的に無理ならそれは無理なんです。(何をいっているかわからなくなりますが)
想像してみてほしい。
職場で生理的に無理な相手がいたとして、果たしてその人と四六時中一緒にいたいと思うか否か?
答えは明白。むしろなるべく距離を保ち、近づかないようにするはずです。
それなのに、パートナーはあなたを生理的に受け付けないにも関わらず一緒にい続けている。
ここでわたしの体験を少し。
当時の状況を思い返してみると「生理的に無理」という言葉は、四六時中浴びせられていたわけではありません。
- 相手の機嫌が悪いとき
- 何かの拍子に相手が爆発したとき
- 爆発後の冷戦(無視)期間
などにそれは発せられていました。(無視期間は基本無言ですが、ボソッと発する感じですね)
そういったタイミングで「生理的に無理」だと言われたあとも、突然なにごともなかったかのように甘い言葉をささやく。
あなたは生理的に無理な相手とスキンシップできますか?わたしには絶対無理です。
でも、モラハラをするタイプはそれができちゃいます。
相手に対して「生理的に無理」と暴言を吐いたあとも、好きや愛しているの言葉、さらにはキスやハグ、身体のコミュニケーションも可能。
これはほんとうに恐ろしい。
ほんとうに本当に怖いことなんです。
抵抗力を弱め、無力化し、支配下に置いたあとで甘いコンタクトを行うこのモラハラ行動は、人ひとり壊すことも可能にします。
まとめ:「生理的に無理」は支配の言葉
パートナーから受ける「生理的に無理」という言葉。
この言葉は冷酷かつ残酷で、優しさや温かさはまったく見えません。
それは、支配や抑圧の意図が込められているから。
相手からの言葉や態度が不快だなと感じている中で、この言葉が発せられたのなら、それはモラハラワードであり、もしかしたらあなたはすでにモラハラループの中に入ってしまっているかもしれません。
アリ地獄のようなこのループからはできる限り早く脱出することをおすすめしたい。切実に。
少なくともあなたの心が壊れてしまう前に。
「生理的に無理」という言葉は、大切な相手には絶対に使いません。
これは断言します。
たとえケンカのはずみであってもです。
ツラいことかもしれませんが、相手があなたに対して「生理的に無理」と発言したとき、相手にとってあなたは大切な人間ではないのです。
それでも一緒にいることに理由を見つけたい気持ちも痛いほどわかりますが、それは本当にあなたの幸せのためでしょうか?
生理的に無理な相手と苦しみながら一緒に居続ける道も選択のひとつではありますが、本当にその道を選びますか?
パートナーでも言ってはいけない言葉というものは存在します。
「生理的に無理」という言葉がどれだけ冷徹で残酷な言葉か、今一度じっくり考えてみてはどうでしょうか。
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