モラハラ・DV

【モラハラ夫にサヨナラするまで】vol.10:サヨナラまでとサヨナラから

モラハラ彼氏、モラハラ夫、モラハラパートナーとの生活は、気が休まる日がありません。

信頼できない相手と表面化で繰り広げられる攻防戦。

「これを言ったら負けるかも」

「これをやったら相手が有利になるかも」

相手から向けられる疑いがひどくなればなるほど、自分自身を守ることで必死です。(もちろんやましいことは何もしていなくても)

それでもモラハラ夫と一緒にいたのはなぜでしょうか。

今となっては明確な理由は分かりません。

ただひとつ言えるのは、

正常な判断ができる状態ではなかった

ということ。

そんな状態が数年続いたのち、ある事件が起こりました。

前回のお話はこちら。

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常に容疑者として疑われる【パートナーとの信頼関係とは】

suspicion

あなたが何もやましいことをしていないにも関わらず、相手から常に疑いの目を向けられたらどうでしょうか。

  • お金を盗んでいるに違いない
  • 浮気/不倫をしているに違いない
  • 嘘をついているに違いない

どんなに信頼してもらおうと努力しても、その疑惑が晴れることはありません。

たとえ家事や育児で疲れていたとしても、あなた自身にとても悲しいできごとがあったとしても、パートナーからはいつも嘘つき呼ばわりをされる。

気分は容疑者です。(しかも冤罪)

やってもいないことをやっただろと問い詰められる。

どれだけ本当のことを話しても嘘だと認定される。

あの日もいつもと同じように疲れ果てて帰宅し、仕事着のまま着替えることもできずさまざまな疑惑(容疑)をかけられました。

もちろんこれはその日に限ったことではありません。

数年の月日を経て、自分でも気がつかないうちにとっくに限界に達していたのでしょう。

口論から暗闇の中へ【一瞬のできごと】

dark

思い当たることがまったくないことを仕立て上げられ、いつものように「そんなことはやっていない」と言い返す。

そしていつもと同じように口論へ。

何度同じことを繰り返してきたか。

安心しておいしくご飯が食べられる雰囲気なんてどこにもありません。

仕事から疲れて帰ってきて食卓につくも、何を食べても味はしませんでした。

ただただモノを口に運んでは咀嚼して飲み込むという作業だけ。

疲弊した状態でそんなやり取りをしている最中、突如相手の目が変わりました。

モラハラパートナー、DVパートナーをお持ちの方ならよく見るあの目です。

急に目の色が変わるというか、目から光が消えるというか。まさに目が据わるという状態でしょうか。

次の瞬間、大きな音とともに食卓にあった食べものが宙を舞いました。

サラダもお肉も何もかもがブワッと。

「あ〜もったいないな〜」

という考えがよぎったと同時に、わたしの視界が真っ暗になったんです。

「あぁ、フローリングに叩きつけられたんだ」

と頭で理解する頃に、体は自分を守ろうと急いで立ち上がっていました。

「ダメだ。。逃げなきゃ。。」

人間、命の危険を感じると、どんなに身体が痛んでも頭は意外と冷静に「助かる最善の方法」を探そうとするものなんですね。

そこから髪を掴まれ何度か叩きつけられた記憶はありますが、正直記憶は曖昧です。

仕事着のまま、追い回される手を払いながらもバッグに必要最低限のものだけを詰め込み、玄関に脱いだままにしてあった仕事用のパンプスを履いて家から飛び出しました。

まだ雪がちらつく頃だったと思います。

これは「普通じゃない」と気づくまで【周囲の支え】

support

その後、どこをどうやって歩いたか覚えていません。

誰かに迎えにきてもらったのか、自分で電車に乗ったのか。

気がつくと実家にいました。

第三者から見れば、ここでひと安心!逃げることができてよかった!となるはずです。

ただ、長年モラハラ・DVパートナーとともに過ごしていた人間はまったく違うことを考えてしまうのが怖いところ。。

頭も気持ちも何も追いつかない状態で一夜を迎えたわたしが最初に考えたこと。

帰らなきゃ怒られる

もう末期も末期、完全に仕上がっていました。

  • わたしにも悪いところがあったのかもしれない
  • このまま帰らなかったら余計酷いことになる
  • 帰ってあと片付けをしないとまた怒られる

こんなことを考えては、咄嗟に家を飛び出したことを後悔までし始めていたのです。

もはや家族の制止など聞こえておらず、心配する声を振り切り、わたしはあの家へ戻ることに決めました。

友だちの言葉で気がついたこと

心臓が飛び出そうなほど緊張しながら玄関の扉を開くと、思いのほかシーンと静まり返った部屋はいつもと変わらない雰囲気でした。

幸いモラハラ夫もいない様子で安心してリビングの扉を開いた瞬間、鳥肌が立ったことを覚えています。

どう言葉で表せばいいのでしょう。

「強盗と格闘したあとの部屋」

といったところが妥当でしょうか。

わたしの私物から何から何まで、すべてのものがぐちゃぐちゃになっていました。もちろんご丁寧にクローゼットやタンス、引き出しからも本当に全部です。

ここでも正気を失っているわたしの脳は、まず「片付けなきゃ」と指令を出したんだと思います。(「逃げろ」ではなく「片付けろ」という判断がおかしいですよね)

ぐちゃぐちゃになった荷物をひとつずつ手に取って片付けている最中、なぜかふと、学生時代から仲良くしていた友だちにメッセージを送ろうと思い立ちました。

昨日こんな状況から出て行くことになって、また帰ってきて今こういう状況なんだけど。。これってDVかな?

メッセージを送り終えたあと、突然コール音が鳴りました。

友だちからの着信です。

この状態でも呑気な声で「もしもし久しぶり」と声をかけたわたしに対し、友だちはまくし立てるように「今大丈夫!?そこに相手はいない!?ケガしていない!?」と聞いてくれたのです。

友だちの必死な様子に少し驚きつつも、わたしはコトの詳細を話しました。

話が最後までいかない段階で友だちの声のトーンが変わり、次のような言葉をくれました。

  • 今日はもう遅いし危ないから、必ず明日の朝一で実家に戻って
  • もしそれまでに相手が帰ってくるようなことがあれば、すぐにSOSを出すこと
  • これは普通じゃない、誰がなんと言おうと普通じゃないよ
  • 明日時間を作るから、直接会って話そう

その瞬間、何かがストンと落ちた気がします。

あぁ、やっぱりこの状況は普通じゃないんだ

近すぎて気がつけなかった家族の言葉

それから友だちとも会い、ゆっくりと話を聞いてもらいました。

出掛けては置き去りにされたこと、いつも容疑者扱いされたこと、床に叩きつけられたこと。

彼女はただただ頷いて、わたしが吐き出す言葉を聞いてくれていました。

そして、とてもとても温かい言葉もくれました。

その言葉は、一番身近な家族も常にわたしに対して長い時間をかけて伝えてくれていた言葉でした。

ただ、最も近しい存在だからこそ、甘えていたのかその言葉を真摯に受け止めきれていなかったのだと思います。

「私たちは何があってもあなたの味方だから。このあとの人生あなたに恨まれてもいいから、それでもお願いだから別れてほしい。」

毎日毎日家族も伝えてくれていた言葉が、友だちの後押しによって、ようやくわたしの胸に届いた瞬間でした。

この出来事がきっかけとなり、「別れよう」と決めたのです。

あっという間のサヨウナラ

bluesky

記憶を辿ると、そこからの展開はあっという間だったように思います。

ただ、別れると決めてもそう簡単に弱った心と身体は回復せず、継続してわたしだけでは正常な判断ができない状況。

家族や友人にサポートしてもらいながらも、淡々と別れに向けて準備を進めました。

まずは相手がいないときを見計らい、必要な荷物を一気にまとめて家をあとにする。

人手を確保し、夜逃げ屋本舗さながら短時間で作業を終えます。

このタイミングでココにはもう二度と戻ってこないと頭ではわかっているものの、まだまだおかしかったわたしは、

  • これはもしまた万が一戻ってきたときにあると便利だし
  • これは相手が気に入っていたものだから置いて行ったほうがいいかな

などとトンチンカンなことを言っては喝を入れられていました。

そして銀行などお金周りの整理をつけ、離婚届不受理申出を取り下げれば、いよいよ記入した離婚届を投函するだけ。

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そこから財産分与などのやり取りはすべてテキストメッセージのみ。

終わってみれば、床に叩きつけられて家を飛び出してから一度も相手と会うことはありませんでした。

もちろん事務処理等のやり取りは何往復か発生しましたが、直接顔を見ることはなかったです。

ようやく得体の知れない恐怖から逃げ出すことができました。

サヨナラしてからの日々

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もちろん、別れてからすぐにハッピーな生活になったかといえばそうではありません。

モラハラ・DVによるトラウマには長いこと苦しみました。

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そして、「離婚を経験した自分」と向き合う時間も長かったように感じます。

あの頃はまだまだ自分に自信がなくて、人に会って「わたし別れたんです」なんて元気に言えるような精神状態でもなく、ただただ人目を避けるように日々をこなしていたと思います。

もちろんあの家があった地域には近寄ることもできず、相手が行きそうなお店にも行かない。会うかもしれない場所は極力避けました。

そんな日陰を歩くような生活も、思い返せばそこまで長くは続かなかったです。

家族や友人の支えは大きいですが、自分なりに日々仕事に没頭し、なるべく自身を癒すことに力を注いでいたからでしょうか。

その後働く環境も変わり、いつしか「本当の自分」を取り戻していきました。

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【モラハラに悩んでいるすべての人へ】今のわたしより

全10回に渡ってお送りしてきたこのシリーズも、今回で完結です。

思い返せばこのブログを立ち上げた頃は、まさにわたし自身が新たな人生に向かって立ち上がろうとしていた時期でした。

このブログに綴っていることは、すべてわたしの実体験からきているものです。

そのときに感じた思いや経験したこと、それらを今尚もがき苦しんでいる世界のどこかにいるあなたに向けて発信したいと思いました。

同じように苦しんでいる人のほんの小さな力になれればいいな、と。

今はまだ抜け出せなくても、抜け出した先には必ず幸せな世界が待っていること。

一歩踏み出した世界がそんなに悪くないと知っていれば、少しは怖さも和らぐかもしれない。

別れることを決めたとき、大切な人たちからたくさんの温かく力強い言葉をもらいました。

自分の道は自分で切り拓け。お前は強い。大丈夫。

 

あなたは宝くじのようなもんだから、胸を張っていきなさい。相手は当たった宝くじをぐちゃぐちゃに破り捨てたようなもんよ。

 

自分が主人公の人生はまだまだ続くよ。信頼できる人との繋がりを大切にして、また旅を始めよう!がんばれ勇者!

わたしひとりではここまで来ることはできませんでした。

今こうして笑って過ごしていられるのも、こんなたくさんの愛ある言葉をくれた人たちのおかげです。

今暗闇の中にいるあなたにも、このブログがそんなささやかな力になれば、こんなに嬉しいことはありません。

さぁ!どんな「今」をつないで「未来」をつくりましょうか!

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